5等立地なんて用語は実は無いのですが、お店をやる人にとってもうこれ以上に無い最悪な立地のことを表す意味で5等立地なんて表現したりするわけです。
お店商売にとって立地は「1に立地、2に立地、3、4が無くても5に立地」と言われる程、お店をやるうえで最も売上を左右する最重要項目と一般的には考えられています。

これは素人目にも納得のゆく話で、1等立地は大きな駅前周辺の最も人通りが激しい場所や商業集積地、オフィス街の周辺などのことを指し、地方ならば最も人が集まる街の中心地的な場所のことを指します。つまり、人通りが激しい、人が集中する場所では、当然のことながら商売は繁盛しそうですから、最も良い立地ということで1等立地と呼ばれるわけです。

2等立地や3等立地は、1等立地より順送りに条件が悪くなってゆく、つまり人の数が少ないほど、低くなるわけです。つまり、5等立地は、人通りが全くない、周辺にも人が集まるようなところが無い場所と言うことが言えます。

しかし、そんな最悪の立地でありながら、カウンター席がたった6つしかない小さなラーメン店に年間6万人が押し寄せる、そんなお店があるのです。

年間に6万人という事は、単純計算で年間に300日営業として考えた場合、1日200人が来店している計算になります。ラーメン店ですから、客単価は1000円として考えると、年間の売上は単純計算で6000万円。(これはあくまでも単純計算で、実際にはもっと売上ているそうです。)

5等立地なのに、何故こんなことが起きるのでしょうか?

今や時代は情報化時代です。SNSや飲食店評価サイト、ブログ、動画サイトなど、新しい情報や面白いことなどは、自らが発信する以外にも、お客様である一般の人が情報を自由にいつでも発信できる時代になりました。

当然のことながら、5等立地なんかにお店を出して、何もせずに単にお客様が来るのを待っていては、ここまでの売上にはならなかった筈です。

先ずは地道に周辺の家や建物に訪問やポスティングでお店が出来たことを知っていただくためにチラシ配りをしたそうです。そして、当然のことながら、そのチラシはクーポン付きにして、更に来て頂いたお客様には次にお使い頂けるクーポンもお出しするというような工夫をする。

そして、来て頂いたお客様には必ず感動して頂く。

ラーメン屋さんですから、出来上がりの綺麗さかもしれないですし、見た目のインパクトかもしれない、気持ち良い接客かもしれない、お店の中の清潔さや解り易さかもしれません。しかし、それら全てをキッチリと実行して、お客様がご来店からお食事を楽しまれて気持ちよくお帰りになられたとしたら、それは感動につながると思います。何故なら、5等立地のお店ですから。

リピートして頂くためのキッカケとして、財布の中には前回行った時に貰ったクーポン、これを見て「変な場所にあったけど美味しかったな」とか「変なとこにある店だったけど接客良かったな」「変なとこにあるけどお店も小奇麗で嫌な感じもなかったな」…なんて回想し始めたら、このクーポンの期限内にまた行かないとクーポンが勿体ないって思って貰えるようになるわけです。

そして、2度目のご来店でも、また感動して頂ける仕掛けがあれば、更にリピートにつながります。

2度目のご来店で、また感動して頂くためには全ての基本がきっちり出来ていないと感動にはつながりません。前回同様の出来上がり、接客、清潔さや解り易さは全てそのままであること、つまりブレが無いことです。2度目のお客様は減点法でしかお店を評価してもらえないのです。

この2度のご来店でお客様が最も驚かれるのが、やっぱり立地なのではないでしょうか? もう、この立地はサプライズです!

何故こんな場所にこんないい店があるの?」って頭の中が混乱することこそが感動なのです。

この感動でお客様は、SNSやレストラン評価サイトなどで、「こんなところにこんなうまい店があった…」 的な表現をする人が増え始めるわけです。

この驚きこそ = 感動商法 ということだと私は思います。

5等立地には、もう一つの強みがあります。それは、普通の場所で普通にお店を出すことかできる資金があるとすれば、5等立地であれば普通の場所に店を出すのに比べて手持ちの運転資金が増えるということです。お店を出すときに最初に掛かる物件の契約金はバカにはできません。また、お店の運営上、固定費が低くできればそれだけ利益は出し易くできます。5等立地ですからフリーレントの期間も長めにして貰えるかもしれません。つまり、これらの費用を削減できるということは、それだけ運転資金を手元に多く置いておくことが出来るわけです。

つまり、その運転資金で食いつなぎながらじっくりとお客様が増えてくるのを待つのです。やるべきことは普通の場所で普通に店を出すのと実は同じです。やるべきことをキッチリと実行する。そして絶対にブレないこと。そして、わざわざ来てくださったお客様の期待を絶対に裏切らないことです。この基本ができていれば、それは驚き=感動に値するということです。

逆に普通の場所で普通に商売を始めるのが最もギャンブルかもしれないと私は常々思っています。普通の場所で普通に成功するためには普通にやっていてはダメです。競合も多いし、お客様の目線もとてもシビアです。人並み以上、またはそれ以上の努力が普通の場所では必要になるのです。人並以上の努力とは、休みなく店を開け続けるとか、仕入れの工夫をかなりするとか、人件費を出来るだけ抑えるために出来る限り自分だけでやるとか、周りのお店に合わせて値引きするとか、とにかく人並み以上の苦難の道が待っていますから、ひとたび何かバランスを崩せば立ちなおれない状態になるのではないかと思います。実はこれが個人や小規模事業者が5年後には2割しか残らないと言われる最大の理由です。

だからと言って、この5等立地でお店を始めるということも、これまたかなりのギャンブルでは?とも思いますが、普通の場所に普通に出店できるだけの準備ができて、あえて5等立地を選んだとしたら、この店の主人はかなりの策士です。綿密に組み上げられた仕組みで絶対の勝算があったに違い無い筈です。

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