看板は個人的趣味を表現するためのものではない
街を歩いていると、このお店は何屋さんか解らないお店がときたま見られます。そういうお店に限って、以前のBLOGでも書いたように、中が全く見えないお店で正面の大きな看板に書かれているのも屋号だけという感じです。中には屋号を見ただけで中華料理店だとか、蕎麦屋だとかと言った具合に解るものもありますが、どう想像力をはたらかせても何屋さんか解らない屋号のお店もあったりします。
ラーメン屋さんなどにたまに見られるのが、ちょっと強面な屋号の看板です。店内を覗いて見ると、その通り、ちょっぴり強面のお兄さんがハチマキ巻いて懸命にラーメン作りをしていたりします。この強面の演出、実は一般のお客様にとってはちょっと逆効果だったりもします。看板を見て強面、勇気を出して中を覗いても強面… こんなお店で美味しく楽しく食事を楽しめるとは誰も想像できません。仮にこれがマスコミにでも取り上げられた有名店だったら話は別ですが、名も無い始めたばかりのお店では、残念ながらお客様のご利用にはなかなかつながりません。あえて言うならば、「通(ツウ)」のお客様にはウケるかもしれません… 。
さて、そもそも「看板は何のためにあるのか」ということに話を戻したいと思いますが、その最大の目的は集客です。
「ここで商売やってます、是非ともご利用ください」ということを示すための物が看板です。逆に何も看板が掛かっていなければ、ただの家かお店以外の建物と一般の人は考えます。
つまり、看板に書くべきことは、屋号ではなく、何を売っているのか(何屋か)ということをお客様に知らせる必要があるわけです。実はそれが看板の最大の役割です。
八百屋さんのように、お店の中が外から見えるような造りのお店なら、並んでいる品物を見るだけで一目瞭然ですから、看板には屋号として自分の名前が書いてあったとしても何も問題はありません。しかし、外から見ても何屋か知ることは出来ないお店の場合には、お客様は何を見てそのお店が何屋か判断するかと言えば、それは看板でしかないわけです。
一昔前までは、飲食店の入口の脇にはガラスショーケースが造り付けてあって中には食品サンプルが並んでいましたが、最近の飲食店ではサンプルを並べるということも殆ど無くなりました。つまり、何屋かを通りがかりのお客様に知っていただくためには、看板に自分のお店は何屋なんだってことを表現する必要があるわけです。
「いやいや、世に有名な世界的ハンバーガーチェーン店は黄色いアルファベット一文字だけの看板じゃないですか…」 なんて言われてしまいそうですが、それは世界中の人たちがあの黄色のアルファベット一文字のマークを見ただけで、ハンバーガー屋だって十分に認知しているからこそできる話です。某有名牛丼チェーン店だって、それは超メジャーな有名チェーンだからこそ、屋号だけでもお客様が理解できるのです。しかし、個人店や小規模事業のお店が、そんな超メジャー店の真似をして屋号やマークだけ書いていても、残念ながら誰も理解できないわけです。知らないものは知らせなければ知りようがありません。
ですから、看板は個人的な趣味や単なるデザイン性の良さやカッコ良さよりも、このお店が何屋なのかをハッキリお客様に知って頂くことを目的に考える(作る)べきなのです。
私は個人的にカレーが大好きなんですが、東京の池袋に「カレーは飲み物」っていう名前のカレー屋さんが出来た時には正直驚きました。この「カレーは飲み物」というフレーズ、有名某芸能人が美味しいカレーは飲むように食べることができるっていうことを「カレーは飲み物」って表現しているのをそのまま店の屋号にしたわけです。これは「飲むほど早く食べてしえるほど旨いカレー屋です」と言っているんだと僕は感じました。味にかなりの自信がないとあの屋号は使えないですが、店主の方にはそれほど自信があったんでしょうね。
これこそ、店の経営者として店主の本来やるべき主張であり、看板の最も有効な使い方だと思います。
カッコよさやデザイン性なども重要かもしれませんが、看板はお客様に自分のお店が何屋であるか、そして何が得意とか、どの商品がオススメなんだってことまでイメージさせられる看板なら尚良いというわけですね。
是非、看板作りは慎重に検討してみてください。
※当社では、看板に関するアドバイスや施工なども行っています。お問合せ(CONTCT) からお気軽にご相談ください。