屋外客席(テラス席)を造って賑わい感を演出しよう
コロナ禍の飲食店支援策の一環として、期間限定で道路占有許可申請なしでも屋外座席を設置できる緩和措置が発表されたことで、注目を集めたのが屋外客席(テラス席)の設置です。実は、屋外客席を設置してお客様に利用して頂けると、それは店頭に行列の出来るお店のような「店頭に賑わい感を演出できる」ことから、集客面で有効な一手です。屋外客席を設置できそうな環境にある物件の場合には、積極的に利用したい営業アイテムでもあります。しかし、屋外にテーブルを出せそうなスペースがあるからと言って好き勝手に設置することは出来ません。
そこで今回は、屋外客席(通称、テラス席)の設置についてのルールについてご説明したいと思います。
屋外客席の設置は保健所への届出が必要
屋外座席を設置できるのは、飲食店営業と喫茶店営業です。屋外に客席を設けると言うことは、食品への虫などの混入や周辺への騒音・臭気の発生などによりトラブルになる可能性もあることから、苦情発生等の防止も考えながら設置する必要があります。設置する場合には地域の保健所に届出が必要となります。
※臨時営業、引車、自動車による移動営業や天ぷら船、屋形船、自動販売機による営業はこの限りではありません。
屋外座席は設置にはルールがあります
➡ 屋外座席を設置できる場所
屋外座席を設置する場合には、屋内の座席に隣接していなければなりません。つまり、飲食店舗の客席の延長として屋外座席があるという形である必要があります。
➡ 屋外座席の広さは屋内座席以下
屋外座席の広さ(面積)は、屋内の客席の広さを超えない程度にしなければなりません。理由としては、➀衛生管理を徹底するため、➁天候の変化でお客様を屋内に移動できるようにするため、➂周辺環境への影響を少なくするなどの目的からです。
※中庭等で一時的に規模を拡大して設置する場合などは除かれる場合がありますので、保健所に事前に確認してみましょう。
➡ 屋外座席は区画する
屋外客席は一定の区画をする必要があります。区画とは、鉢植えの植栽や観葉植物などで周囲を囲む、ポール付きのロープなどで囲む、デッキなどの上に設置するなど、明らかに周囲と区画されていて屋外客席の場所であることが通行している人にも解るように区画する必要があります。
➡ 椅子やテーブルの客席以外は設置不可
屋外客席部分には、客席以外は設置できません。サラダバー、バイキング、フリードリンクコーナー等の食品の陳列設備、調理設備、焼台などの客用の調理器具も設置できません。屋外座席だからバーベキューや焼肉という気分になりますが、公衆衛生上の問題からこれらは全てできません。
➡ 苦情防止措置を十分にとる
屋外客席は、道路等の不正使用、騒音、臭気等などによる近隣住民等から苦情の原因となりやすいことから、苦情などが発生しないように留意すること、また関係法令等も遵守する必要があります。
・排煙、臭気、騒音、排水などによる近隣の快適な生活を阻害しないこと。
・近隣住民の住居敷地に隣接している場合には、敷地境界線から一定の距離を置いて設置すること。
・住居区域等での営業の場合には、深夜には屋外座席を使用しない。
屋外客席を設置しようとする時には保健所に届出る
屋外座席を設置しようとする場合には、着工前に設計図等を持参のうえ、お店のある地域の保健所に先ずは事前相談します。詳しい申請方法などは、この事前相談時に教えて貰うことができますので、その手順に沿って申請することになります。
大まかには、営業許可申請の際に、屋外客席用の営業設備の大要に屋外座席の配置、施設境界線、道路との境界線等を記入し、屋外客席設置届と共に届出します。
屋外座席を設置するときの計画ポイント
屋外に座席を設置するということは、天候や気候、更に周囲の環境にも影響を受けることになります。屋外座席を計画する際には、これらのことについて十分な検討と対策が必要となります。
➡ 雨や雪などを避ける
雨や雪が降るたびにお客様に店内に移動してもらうというのでは、あまり効果的な屋外座席とは言えません。ある程度までの雨や雪に対応できるように、パラソルやシェード、出来れば建物から庇を広げるなどの対策を考えたいものです。
また、雨や雪により床が濡れても滑りにくい素材を選択するなどの配慮も必要です。
➡ 暑さ・寒さ対策をする
暑さで最も効果があるのは、直射日光を避ける日陰を作ること、つまり雨や雪と同じように日除けのためのパラソルやシェード、庇は効果的です。
寒さについては、屋外用のヒーターを使用したり、庇などから開閉可能なビニールカーテンを吊るすなどで暖気を逃がさない工夫も有効です。
➡ 前面道路の通行量には注意!
道路に面した屋外座席の場合には、道路の通行量が多過ぎる場合には屋外座席に向かない場合もあります。自動車の通行量が多く、屋外座席から車道までの間の歩道幅が狭いと排気ガスや自動車のエンジン音などで食事どころではない環境の場合もあります。来店して頂いたお客様が利用して不快な環境での屋外座席の設定は、意味のない投資になってしまいますので、計画段階で充分に注意が必要です。
中が見えにくい造りのお店には、なかなかお客様は利用して頂けません。構造的にどうしても中が見えにくい店と言う場合もあります。そんな時に、狭くても天気が良い日だけでも軽く食事を楽しめたり、休憩がてらコーヒーなどを楽しんでもらえるスペースとしても屋外座席は有効です。そして、お客様が見える場所で飲食してもらえるということは、そこが飲食店あることを一目で示す大きな広告でもあるわけです。また、屋内席が満席の時にも、空き待ちの間の待ち時間に飲み物を飲んでいただくようなウエイティング席としても利用可能です。
屋外座席として大きなスペースが取れなくても、軒先に少しだけ席を造ることでも効果が出る場合もあります。
当社では、屋外座席のご検討のお手伝いやプランニング等も行っています。
是非、お気軽にご相談ください。