店舗物件を探すとき、今や居抜き物件から探し始めるのがスタンダードとなってきています。その最大の理由は、造作や設備が付いた状態である居抜き物件は、ゼロからお店の内装工事をするよりも遥かに低コストで出店することが出来ることから、初めて店を始めたいという人達にとって出店のハードルが下がり、これまでよりも少ない資金で始めることができることから、以前より多くの人達が新規開業にチャレンジできるようになったという背景があり、このニーズの拡大から居抜き専門業者が出現したわけです。

これによって、店舗物件に限って言えば、一般的な不動産の賃貸物件市場よりも居抜き物件市場の方が大きくなりつつあるということが言えます。これは、店舗用の不動産物件の母数は殆ど変化がない中、その中で居抜きとして取引される数量が増えているということなのです。

居抜きは不動産業者で取引されるものではなくなってきている


居抜き物件は、建物部分(いわゆる「器(うつわ)」)である不動産は、不動産業者しか仲介取引できません。しかし、居抜きの(いわゆる「中身」)である造作や設備機器、その他の物品に関しては、動産扱いであることから、誰でも取引することが可能です。この部分は店舗物件を探している人にとってはとても重要ポイントです。

何故なら、昔の居抜き物件は「以前の借り手」が夜逃げ同然の状態で残していってしまった物で、何とかこの残された造作ごと「次の借り手」に引き取ってもらいたいという、「貸主」から言えば無駄な解体廃棄コストを掛けずに「次の借り手」に引き取ってもらいたい厄介物でしかありませんでした。また、夜逃げ同然ということは、それまでに家賃の滞納などもあるのが殆どですから、「貸主」からすれば、できれば損を取り返すために残された造作などを「次の借り手」が買ってくれれば、少しは損を取り返せるかもしれないという思惑まであったのです。ですから、居抜きは不動産業者が物件として貸主の依頼で一括して扱っているのが一般的でした。

しかし、今では「借り手」が何らかの理由で物件から出て行こうと考え始めた時、できるだけコストを掛けずに出て行きたいという思惑から、現在の店をまるごと使って引き継いでくれる人を探せるようになったのです。そう言ったニーズを掘り起こしたのが居抜き専門業者です。
更に、最近では居抜きという物だけの取引では無く、営業中の店の経営権(看板から従業員まで)をそのまま引き継ぐ「事業継承」を取り扱う小規模M&A取引業者もある意味で居抜きの取引業者と言うことが言えます。

(※ 経営権における「看板」とは、その屋号やブランドを引き継いで事業を継承することを指します。)

居抜きは不動産業界に情報が出回る前に居抜き業者の中で取引が始まる


最近の居抜き物件の最大の特徴は、建物の貸主に対して解約予告をする前の段階で居抜き専門業者に閉店する店の経営者から相談が入ることです。つまり、不動産業者より早く居抜き専門業者は情報を入手することが出来ているというわけです。
この背景には、家賃をもう少し支払うより、店をスケルトンに戻す方がその何倍ものコストが掛かってしまうからです。また、解約予告をしてしまうと不動産市場に情報が拡散することから、従業員や周囲の人たちに閉店することが知れてしまうことでのデメリットやリスクもあるからです。
更に、居抜き専門業者は出来るだけ同じような業種業態の顧客を連れてきてくれる可能性もあることから、今では店の従業員の引継ぎまで相談できるような業者も居るわけです。これで繁盛店や普通に営業が出来ているような店であれば、事業継承という手も出てくるわけです。

店舗物件の最も鮮度の高い情報は不動産業者ではなく居抜き業者のもとに集まる


つまり、現在の店が不動産業者すなわち管理会社に閉店する旨を相談することは解約予告となる可能性があることから、先ずは居抜き専門業者に相談するケースが増えているわけです。
不動産業者も最近では居抜き物件を前向きに扱うようになったのは、このような背景からで、更に造作譲渡に伴う報酬は不動産仲介手数料とは別であることから、店舗専門の不動産業者の中には居抜き物件の取引手数料が新たな収入源となっていることもあります。こういう業者は、居抜き専門業者と同じようなかたちで物件を扱う不動産業者まで現れています。

最後に、居抜きを扱う業者の元に最も早く店舗物件情報が集まるわけですが、幾ら居抜き専門業者と言っても、その情報を安易に公開したりはしません。また、居抜き物件業界でも、やはり良質な物件の情報は航海される前に取引されているため、良質な物件情報をより早く、言い換えれば優先的に送ってもらうためには、与信が高い状態であること、本気で取り組んでいることなどをアピールしておく必要がります。

MORIWORKS CO.,LDT


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