厨房のカタチは変えられない
飲食店を居抜き物件を使って出店をで検討するときに最も気をつけなければいけないのが、その物件の厨房の「大きさ」と「形」がそのままで使えるかどうかです。
既に入っている厨房機器は、必要に応じて取り替える事ができますが、厨房の「大きさ」と「形」を変えようとすると、厨房を解体しなければならなくなります。それでは、居抜きを買った意味が無くなってしまいます。
チョットだけ広さが足らないから広げたいとか、こんなに広くなくてもいいので狭めて客席を増やしたいなんて事をよく相談される事がありますが、厨房の外枠を一部でも解体すると厨房の防水が切れて漏水するリスクが出てくるのです。
厨房は水を使う場所であり、衛生的にも水を床に流しても問題が起こらないようになっています。厨房の下には水が漏れ出さないように防水槽と言うプールのような造りになっていて、厨房の給排水管が仮に壊れても直ぐにはホール(客席等)や下階に漏れ出さない造りになっています。
厨房の「大きさ」や「形」を変えるという事は、その厨房防水を一部解体する事になります。この時にブロックやコンクリートを切り崩す作業が出てきますが、解体時の振動などで防水槽に亀裂などが入る可能性があるのです。つまり、都合よく綺麗に部分的な解体出来ません。
居抜き店舗を買ってお店をオープンしてから防水が切れていた事に気付いて、これを補修してほしいと言う話も少なくありません。しかし、これを安価で解消することは殆どのケースでできません。完全に確認して解消するためには、厨房機器を一旦外し、漏れていそうな箇所、漏れそうな箇所を全てシーリングする。既存の防水槽の内部に水が溜まっているのを排出するために点検口を開けて排水する。排水経路を新たに造るなどなど、とにかく厨房防水に関しては、容易に解消できることは稀です。
この文章を読んだだけでも、物凄く面倒で費用の掛かりそうな事は想像できると思います。
つまり、厨房の「大きさ」と「形」は変えられない。これが大原則だという事を頭に入れて物件選びをする必要があります。
これと同様に、厨房の各種配管関係も大幅な変更は出来ません。給排水やガス管は厨房の床下に埋設されています。この配管関係は最初に厨房を造ったお店の仕様に従って造られているわけです。排水が立ち上がっていない位置にシンクを移設しようとすると、既存の排水経路に床上で配管を転がして接続するしかありません。排水が厄介なのは、排水は配管に勾配をつけないと流れないのです。配管の勾配が無いと流したものや堆積物が溜まり、詰まりを起こしてしまいます。排水不良を直すには、排水管の洗浄を業者に頼む事になりランニングコストが増大します。
つまり、厨房はできる限り以前のテナントの造ったカタチのままで使えるかどうかをよく検討する必要があります。大きく変えなければならないなら、大幅な支出覚悟で全解体して造り直すか、キッパリその物件を諦める、の二択しかありません。
また、部分改修出来ますと言う施工会社の言葉を安易に受けない方が良いです。必ず、防水に影響が出ないか?営業を開始してから不具合が出ないかどうかを確認してください。安易に信じてしまったその代償として大きな負担を負う事になってしまったら、お店の経営まで影響します。そのリスクをキチンと説明してくれない業者に良い業者は居ないという事も知っておくべきです。
当社では。経験豊富な建築士や内装設備業者が、経営者様目線でアドバイスをさせて頂いています。厨房や水のことでお困りでしたら、ご相談ください。