「居抜き物件」と言うと、一昔前は「わけあり物件」的なネガティブなイメージが付きまとっていましたが、今では居抜きを売り買いすること自体が一般的になったこともあり、ネガティブなイメージは殆ど無くなったような気がします。

「居抜き」とは、スケルトン状態の不動産物件に造作、設備、家具、物品などの全て又は大部分を残した状態の物件のことを「居抜き」というわけです。

「居抜き」の語源は、た人(お店をやっていた人)だけがけた状態の物件ということから「居抜き」と呼ばれるようになりました。昔は、お店が立ち行かなくなると夜逃げしてしまう人が多く、困り果てた家主がそのままの状態でも使ってくれる借り手を探すという物件が多かったのです。また、昔は商売に失敗した場所で商売を始めること自体、縁起が悪いと言われて借り手がつき辛いにも関わらず、前に商売していたイメージを消し、せめて商売に失敗した物件でも白紙に戻す厄払い的なイメージ付けをする意味合いでスケルトンに戻すと言うのが一般的な考え方だったので、「居抜き」は縁起が悪いネガティブなイメージだったわけです。

ですから、古い不動産屋さんが管理している物件やご高齢の貸主様などの場合には、「居抜き」を非常に嫌う傾向にあり、たとえ造ったばかりのお店で買い手がすぐにつくような物件でも、スケルトン戻しに拘られる物件が今でも稀にあります。

しかし時代は変わり、「縁起」より「コスト」という合理的な考え方にシフトし、貸主様も次に入る人が原状回復義務の責任をきちんと負ってくれるなら居抜きでも募集をかけて良いというようになってきたわけです。更に、近年では使えるものは使う、ゴミを削減すると言ったエコ的な観点からも居抜きの取引件数は増えている傾向にあります。

お店を開業するためには、物件の契約金、前家賃、店の造作、設備、家具什器、物品、売り物の初期在庫や仕入れなど、非常に資金が高いことが特徴でした。中でも飲食業は、店の造作、設備、家具什器の部分で全資金の6割から7割を占めますが、これが居抜きを利用することで1/3程度まで下げることができるのですから、総資金が約半分くらいで開業できるようになったわけです。

程度の良い店を探し出し、更にできるだけ自分が始める業種業態に近い居抜きであれば、開業コストは更に下げることは可能です。こうしたことから、居抜きを利用することで店舗開業のハードルは低くなり、開業のチャンスも広がったわけです。

余談ですが、「居抜き」は「居た人抜き」ですが、「居た人も付いた状態」だと、最近流行りの「小規模M&A(事業継承)」ということになります。こちらは、お店のオペレーションをしていた従業員ごと売買の対象ですから、別に本業を持つ人がオーナーとしてお店を持ちたいという場合に最適です。

MORIWORKS

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